除草の日々
梅雨真っ只中ですね。この時期は貴重な晴れの日の多くを除草作業に費やします。
夏以降の野菜の出来が、この時期の除草にかかっているといっても過言ではありません。後手に回った除草作業は労力も増え、作業時間も数倍かかることになります。そうなると他にやらなければいけない適期の作業が滞り、播種や定植、収穫の遅れ等、いいことがありません。
もちろん草に覆われた作物が消えていくことにも繋がります。「有機農業=環境にやさしい」。そうでなければなりません。せっかくかけた労力や種代や資材費だけでなく、トラクターやビニールマルチなど石油製品も使っているのですから、それを無駄にしてはいけません。だから、この時期は除草の日々。
ゴボウです。土の部分は管理機と手道具で、出来る限り裸地を維持します。緑の部分は手作業でやるしかありません。草を取りつつ間引きます。
この状態に。100mの畝をコツコツ4時間。早い?遅い?
ズッキーニは今週から出荷開始となりそうです。
キュウリもそろそろ。畝間の緑はリビングマルチ。ヘアリーベッチの種を蒔いています。
ミニトマト。
大玉トマト。
そしてカボチャ。 これも畝間はリビングマルチ。
ナス、ピーマン。リビングマルチは大麦です。
最後に長芋。
定植完了!
5月、暑いのが好きな野菜たちを畑に植える準備を進めます。これはトマトを植えるとこ。
こちらはナス、ピーマン、オクラ、キュウリ、ズッキーニを植えるところ。緑の部分はリビングマルチ。
例年だと遅霜の心配がなくなる20日頃から植え始めるのですが、今年は日中の気温は上がるのに朝の最低気温が10℃を下まわる日が続いていて植えられませんでした。そしたらやはり21日の朝、アルプスの2500m以上に積雪。ここに吹き降ろしてくる風も当然冷たい。
温室の中の苗たちは、寒さに震えることもなく、畑に根を下ろす時を待ちわびています。これはキュウリ。
こっちはピーマン。
ようやく24日から朝の気温が上がりました。仕事が少し遅れ気味の分、頑張るしかないので、ひたすら植えます。
まずはトマトを150本、カボチャを450本植える。写真はカボチャ。
午後にはナスを100本、ピーマンを75本、ズッキーニを50本。
翌日は家族サービスの田植えを半日。娘の小学校の同級生の2家族と一緒に。専業農家の娘でも田植えは初体験。よしよし。終了後、畦でお弁当。これは僕も初体験。いい時間。仕事ではない農の時間。その後、キュウリを80本植えました。
翌日はお仕事の田植え。田植え機を使って、1日で5枚の田んぼすべてを植えます。面積は3反ほどですが、小さな田んぼが3枚あるので、時間がかかります。一人で黙々と植えました。
その後、里芋225株、サツマイモ300本を植えて、一段落。5月中になんとか終えることが出来ました。気温は予想通り安定して高く、夏野菜は根を張り、新しい葉を伸ばし始めました。雨が少ないのが気になりますが、いざという時には潅水設備があるので大丈夫。
怒涛の日々を過ごしたら、6月に突入!出荷の始まりです。今年の春野菜は充実しています。遅霜の被害もなく、例年より早く育っている感じです。ちなみに昨日のMサイズのセットは、グリーンボール、ブロッコリー、レタス、サニーレタス、ルッコラ、ラディッシュ、大根、小松菜、絹サヤエンドウ、新タマネギ、イチゴが入りました。
順調
この春も気象条件はなかなか厳しいです。4月中旬までの雨続きの日から一転、その後は晴天続き、極端です。久しぶりの雨は5月13日。植え付けや種蒔きが始まるこの時期、旱魃気味なのでやむなく潅水作業をしました。 就農20年目にしてこの時期の潅水は初めてのことです。それでもその甲斐あって、苗を植えつけたキャベツやレタス、葱は順調に根付き、種を蒔いたニンジンもきれいに発芽しました。
気温は高めで、氷点下に下がることもなく、至って平和。山のタラノメやコシアブラは例年より1週間ほど早く採取できました。同調するように4月上旬以前に畑に根を下ろしていた野菜たちも、例年より早く育っています。
5月5日の絹サヤエンドウ。 例年より10日ほど早く花を咲かせました。
こちらは5月10日のイチゴ。 やはり早い。5月20日頃から収穫できそうです。出荷が本格的に始まる6月までは、自家用にまわります。ハクビシンにやられなければ、ね。
豊作経験の少ないタマネギも、今年は期待できそうです。追肥のやり方を少し変えた効果があったようです。
6月から出荷する葉物の畑はこんな感じ。左からキャベツ、ブロッコリー、レタス類、大根。5月13日に保温と虫除けのための被覆資材をとりました。今年は遅霜もなく、とても順調に育っています。
温室の中では苗が仕上がってきています。寒さの心配のなくなる20日頃から、トマト、ピーマン、ナス、キュウリ、カボチャなどの夏野菜、そして稲など暑いのが好きな作物をどんどん植えていきます。忙しさも本格的になってきます。
籾蒔き
雨の日がほんとに多いです。先週はそんな雨の日に、籾まきの準備を進めました。
まずはぼかし肥料を片付けた温室の整地。プール育苗を行うために、苗を並べる場所を水平にします。手作業ですが、水盛り管を使って、長さ10mで高低差2cm以内に仕上げます。基本的には土木工事等と同じやり方です。水平の基準を出し、水糸を張り、その糸から等距離で枠木を打ち込んでいきます。この作業で枠木の上面がほぼ水平になるので、この水面を基準に板で土を均していきます。
これで完成。2面で80枚の苗箱が並びます。この後、枠内にビニールシートを広げて水を溜められるようにします。
そしていよいよ籾蒔きのはじまり。まずは苗箱に土を入れます。育苗培土は民間稲作研究所の有機肥料と市販の無肥料培土を混ぜたものを使っています。
籾蒔きは民間稲作研究所の「のびのび」を使って超薄蒔きにしています。苗の仕上がりは4葉半、丈は15cm以上を目指します。
ラインを作り、出来るだけ効率よく進めます。左で種蒔き、手前で覆土、更に右の温室の外で水をやり、温室の中に並べていきます。
午後5時に無事終了。最後に太陽シートをかけて、完成です。発芽には1週間ほどかかります。
雪、雨、晴
雨、雨
予報通りに金曜日朝から雨が降り続いています。昨日は朝から3時間だけ止んだので、定植適期の玉レタスを植え、大根の種を蒔きました。被覆資材をかけ終えたと同時に雨が降り出し、やったね!と。
3月は雨も少なく、気温もそこそこまで上がり、例年になく仕事がはかどりました。でもこういう時は4月の大雪または長雨があるかもなぁ、と思いつつ・・・。とりあえず1週間ほどは降り続いてもなんとかなる程度には、この時期の畑仕事は済んでいます。そして、この雨。近所の温泉にでも行ってゆっくり出来たらいいのですが、幸か不幸か、1週間分の雨仕事もきちんと用意がされているのでした。
本日は育苗培土づくり。材料は自家製腐葉土(踏み込み温床の中身の落ち葉を野積み2年)と畑の土(里芋→葱→サツマイモ→ヘアリーベッチを輪作している畑の土。アブラナ科、ナス科、キク科とは無縁の土、前作は葱のもの) と籾殻燻炭。腐葉土と畑の土はゴミや石ころを取り除き、粒をある程度細かくするために砕土機を使いと調整します。
それを攪拌機で混ぜれば出来上がり。攪拌機は、手でやるよりも確実に均一に、早く、楽に仕事をしてくれます。この機械は引退した左官屋さんから安く譲り受けたもの。非力ですが、この程度の仕事なら難なくできます。機械のおかげで、朝から土の調整を始めて1日で、うちで使う1年分の自家製育苗培土が出来上がります。
話は変わって先日蒔いたナスやピーマンの発芽が4日から始まっています。発芽もまあまあ揃い、問題なしです。温床の温度は少し下がって40℃ほど。例年通りです。
キャベツの苗の上では、先日孵化したカマキリの幼虫が仕事をしています。
植えました
4月2日午前中、キャベツとブロッコリーを植えました。例年より少し早いですが、気温は高め、週間天気予報は明日から雨マークがズラリ。うまくといくといいのですが。
被覆資材をかけて防寒対策もそれなりに。それでも厳しい寒さが来れば凍害は避けられません。後ろの山は中央アルプス。まだ雪をしっかり被っています。周囲の畑ではまだどこも何も植えていません。 ギリギリの時期なのです。これがうまくいけば6月はじめの出荷開始時に間に合います。後はまあ、お天道様次第!
午後は絹サヤとスナップエンドウの定植。今年は3月が暖かめだったので、苗も少し大きめです。一昨年、昨年と発芽が悪かったスナップも、今年はバッチリでした(写真は絹サヤ)。
苗床で育てたので根が露出したものを植えることになります。それでも極端に土が乾燥していたり、定植直後に日差しが強かったりしない限り、きちんと活着します。この日は土の水分はまずまずでしたが、気温は高く日差しも強かったので、午後3時頃から定植開始。明日は曇りのち雨の予報なので、100%根付くことでしょう(手前の畝が絹サヤ、奥がスナップ)。収穫はこれまた6月初旬から。楽しみにしていてください。
かもしかか もしか
いよいよ4月。畑も本格的にスタートです。
2日前にはアマガエルの初鳴き。昨日温室内でご対面。虫が主食ですから、益虫(虫じゃないけど)です。同志です。今年もともに生きましょう。
これまた温室の中。カマキリの孵化。秋の畑の片付け時に、見つけた卵嚢を持ち込んでいます。
苗に付くアブラムシを食べてくれることを期待してます。でも、カエルの餌食にもなるでしょう。この矛盾。善悪入り乱れ、重層的で複雑なのが「自然」。前向きに捉えましょう。
例年より気温は高め。予報ではしばらくは氷点下に下がらない。そしてしばらく雨らしい。 その後の寒気の訪れの有無は現時点ではわからないけれど、キャベツやエンドウを植えてしまってもいいかもしれません。例年より1週間ほど早いのですが。
苗はいい感じに育っています。 左はブロッコリー、右はキャベツ。3月2日に蒔いたもの。本葉4枚目が出はじめて、定植適期を迎えています。例年ならここから寒さに1週間ほど晒して、耐寒性をつけさせてものを畑に植えるのですが、今後しばらく気温が下がらないのであれば、寒さに晒すことが出来ません。だったらやはり植えてしまっていいのでしょう。
今日は雨、明日、明後日は晴れ、その後しばらく雨の予報。となれば植えるのは明日、明後日。
そんな訳で一昨日から定植の準備を開始。
エンドウの誘引ネットを張りに山際の畑に行くと・・・。いた(写真中央)!春の気持ちのよい陽だまりの中で、やわらかい草を食んでいます。大きな野生の命に接すると、カエルやカマキリと対峙した時とはまた違った感情が生まれます。同じ哺乳類だから?魂の交流があるような・・・。
接近してもう一枚(10m)。カモシカは結構近くまで寄ることが出来ます。「あいつらは目が悪いで」と近所のおじいさんは言います。真偽はわかりませんが、ジーとこっちを見ている仕草からは「なるほどねぇ」と思います。個人的には、おっとりした持ち前の性格と、特別天然記念物で、長い期間、人に危害を加えられていないからではないかなぁ、と思います。 冬のある日、この裏山1km四方で7頭と出会った日もあったほど、実はたくさんいる特別天然記念物です。
無事に夕方に定植準備完了。 カモシカにエンドウの苗をやられないか少し不安ですが、きっと大丈夫。同じ畑にある小松菜とホウレンソウは、冬の雪景色の中でここだけ顔を出していた貴重な緑でしたが、被害はありませんでしたからね。豆苗が大好物なら分かりませんけどね。
踏み込み温床
3月18日、雨上がりに落ち葉拾い。集落内のコナラ林に沿った道路際。
例年のようにコンテナで60杯。 踏み込み温床の材料です。
温床を仕込むビニールハウス。
3月24日、温床の仕込み。
まず昨年のモノを出す。
外の積み込み場所へ。
昨年の落ち葉は、この程度、分解されています。
これから2年経つと分解はさらに進んで、こうなります。
この腐葉土で野菜の苗を育てます。肥料分は何も足しません。品質のいい育苗培土。
踏み込み温床の材料は、落ち葉と米ぬかがメインです。コンテナ60杯の落ち葉に対して、米ぬか60kg。そこに少しのぼかし肥料と牡蠣殻石灰などを加えて、混ぜて、水をかけながら踏んでいきます。
26日の朝、温度は50℃超 。うまくいきました。
この上で、寒さが苦手なナスやトマトなどの夏野菜の苗を作ります。種蒔きから発芽までは、苗箱の地温が25~35℃になるように管理します。
3月30日、ナスやピーマンの種を蒔き、温床の上に並べました。
味噌仕込み
フキノトウが顔を出し、燕も飛来(早い気がする)。毎年恒例の味噌仕込み。原料の大豆も米も草間舎産。もちろん無農薬・無化学肥料の有機栽培。
前日夕方、大豆4斗(60kg)を洗い、水に漬け、吸水させます。
翌朝、水を吸った大豆。体積は倍ほどになる。なぜ水を吸うのか。物理的な浸透圧を利用しているのでしょうが、つまりは大豆は水を与えられたことによって発芽の準備をスタートさせたのです。 生きている!
僕たち(地球上の他の生き物も)は他者の命を利用をして、自らの命を繋いでいます。だから、自分も含めて命は大事!
大釜で大豆を煮る。am7:30点火、pm1:00 に煮あがりました。
麹と塩を混ぜる。麹は辰野の若松屋さんにつけてもらいました。
塩と混ぜながら、麹の塊をほぐしていきます。麹と塩を混ぜたものを「塩切り麹」といいます。味噌を作るのはとっても簡単。煮た大豆を潰して、塩と麹と混ぜて、密閉容器に詰めるだけ。ポイントは材料を出来るだけ均一に混ぜること。塩分や麹の量が場所ごとに変わると熟成にも味にもむらが出ることになります。むらを無くすために、まずは塩切り麹を作って、塩と麹を出来るだけ均一に混ぜておき、それを煮あがった大豆に混ぜるのです。
煮えた大豆を潰します。 大釜も、豆潰し機も、昭和の中頃のもの。釜の一つは集落からの借り物。今では使うのは私たちだけ。うちの釜と豆潰し機は、粗大ゴミで出たものを譲り受けました。ちょっと前まで普通のことだった味噌作りも、今では誰もやりません。周囲の田畑に目をやれば、きちんと手入れをしている所より、荒れている所の方が多いくらい。米はまだしも、自家用に大豆を作る人はほとんどいません。
人間、どこに向かっているのでしょうね。
毎年のことですが、近所の子供たちが自然に参加してきます(総勢15名ほど)。鬼ごっこやサッカーや喧嘩をしながら、気が向けば労働も。僕が子供の頃は毎日がこんな感じで群れの中で過ごしていましたが、今の子供たちには稀な時間です。学校から帰れば塾や習い事で忙しく、子供ならではの「何もしなくていい時間」を奪われてしまっている。もちろん奪っているのは大人です。 参加した子供たちはおやつまでしっかり食べて、疲れきって家路につきました。
潰した大豆。熱すぎると麹菌が死んでしまうので、35℃まで冷まして、塩切り麹と混ぜます。
それなりに重労働。ひたすら混ぜます。
味噌は空気のいらない嫌気性醗酵。空気があると黴を呼びます。なのでまずは空気を抜きながら玉を作り、それを仕込む樽に、これまた空気を入れないように潰しながらきっちり詰めていきます。樽に詰めたら、空気に触れる上面に殺菌を兼ねて振り塩をして、完成です。うちは寒い場所で保管しているので熟成に2年ほど費やします。暖かい場所に保管すれば、1年で食べ頃を迎えます。参加者はそれぞれが持ってきた樽に詰めて持ち帰ります。もう10年以上やってきて失敗したという話はありません。美味しい味噌になること間違いなしです。